世界に対して無知でいないためのドキュメンタリー マイケルムーア 世界侵略のススメの感想

マイケルムーア 世界侵略のススメ

世界侵略のススメというのは凄いタイトルだが、実際にはこのタイトルのイメージと内容はまったく異なり、とても勉強になるドキュメンタリーだ。

この映画の主人公であるマイケルムーア監督は、世界のあらゆる”いいもの”を求めて世界侵略の旅に出る。

教育が良ければその教育を”盗み”に行き、働き方が良ければその国の働き方を”盗み”に行くわけだ。もちろん盗むというのは、日本の職人で言う「技術を盗む」と言うような、相手の良いところを真似するという意味である。

意外と似ているアメリカと日本


引用:Where to invade next 公式サイトhttp://wheretoinvadenext.com/

アメリカと日本というと、どこか真反対の国のように思われている。実際にそう聞かされることが多いし、それを強調するかのような話も多い。

非常に面白いことに、この映画を見ているとアメリカと日本はまったく同じ国なのではないかと思えてくる。なぜなら、日本の話は一言も出てこないにも関わらず、あくまでアメリカと世界の比較の話をしているはずなのに、それらすべてはまるで日本の話のように思えてくるからだ。

この映画ではさまざまな国とアメリカの違いが描かれているのだが、働き方、教育、罰に対する考え方、すべてがまるで日本のことを言われているかのようであった。

わたしたちの持っているイメージとは裏腹に、日本とアメリカの働き方は似たようなものだし、日本とアメリカの教育も似たようなもので、日本とアメリカの罪に対するとらえ方まで似たようなものなのだ。それらはすべて一般的なイメージと反しているが、実際はそれが事実のようだ。

たしかに、歴史を振り返って考えてみれば、アメリカと日本のシステムや価値観が似ているというのは当然のことなのかもしれない。日本はさまざまなものをアメリカから持ってきたし、少なくともスーツをびしっと着て働くのが日本人らしいと思い込めるほどには、それが浸透している。

それを考える機会はあまりないが、世界を広い視点で見てみると、それが痛いほどわかってしまう。

アメリカンドリームと世界の発展


引用:Where to invade next 公式サイトhttp://wheretoinvadenext.com/

わたしたちは、自分たちだけが発展していて、世界の人々が遅れているというバイアスを持っている。グローバルヘルスの教授であるハンスス・ロスリングも著書のファクトフルネスのなかで語っていたことであるが、人間と言うものはどうも自分たち以外の人が劣っているだとか、努力をしていないかのように勘違いしてしまいがちなのだ。

自分たちだけが問題解決に対して意欲的で、勤勉であると思い込んでいる。

しかし、この作品のなかでマイケルムーアはこの強力なバイアスを打ち破ってくれる。わたしたちが知らない間にも、世界は発展しているという当たり前の事実をおもしろおかしく突き付けてくれる。

例えば、教育において特にすぐれている北欧の国フィンランドでは、驚くことに宿題は存在せず、統一テストも存在しないようだ。テストをする場合もマーク式の答案を廃止し、すべては筆記で解くようにしている。

小学生が学校にいる時間も、昼休みを合わせて3~4時間程度だ。

これらは甘え理科の教育とはまったく異なる。アメリカでは長時間学校に行かなければいけないし、統一テストもあり、試験もマーク式のものが多い。フィンランドではそれをしないにも関わらず、いや、しないからこそ、彼らの教養はとても高い。

どのくらい高いのかと言えば、髪を派手な色に染めたり、顔にピアスをしているような学生であっても、平気で2,3ヵ国語の外国語を話せる程度には教育レベルが高い。

これがどれほどのことか、外国語を学ぶ大変さを知っている人であれば容易に理解できるであろう。事実、アメリカと比べてもフィンランドの語学習得率は高いし、学生のうちからそれを使いこなし、マイケルムーアとも外国語である英語で(母国語はフィンランド語だ)会話をすることができる。

なにより凄いのは、フィンランドの先生たちは「どこの学校に行くべきか?」という質問に対して「どこでもいい。うちの近くの学校に行けばいい。フィンランドではどこの学校も同じだから」と言いきれてしまうことだ。

少し考えてみるとこの意味がわかるだろう。つまり「悪い学校など存在せず、すべての学校が良い学校であるから」どこに行っても同じだというのだ。

アメリカの学校では、みんなにチャンスがあると言いながら、良い学校と悪い学校がある。良い学校に行けばチャンスがあるが、悪い学校に行けばチャンスはないということはみんなわかっている。わかっていながら、そんな夢物語を大人は語る。冷静に教育の重要性を考えれば、いい学校と悪い学校があるのはおかしな話だ。

しかしフィンランドでは「みんなにチャンスがある」といっても嘘ではない。本当にすべての学校が良い学校であるし、わざわざ学校を選ぶ必要がない。だからこそ、フィンランドの教育は世界一だと言われている。

発展している世界と


引用:Where to invade next 公式サイトhttp://wheretoinvadenext.com/

さて、他にもイタリアの働き方や、フランスの食事など、さまざまな素晴らしいものが世界にはあり、それを紹介したいのだが、是非このドキュメンタリーでその国の人たちの顔を見ながら知ってほしいと思う。

わたしたちの知らない良いところが世界には存在して、それは同時に学ぶことをやめてはいけないことをわたしたちに教えてくれる。これはタイトルから嫌煙されがちな映画だと思うが、特に見て欲しい映画のひとつである。

マイケルムーア 世界侵略のススメ

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